(182) 「女房言葉」
「御所言葉」と同じようなものですが、今日は「女房言葉」です。
以前、「女房言葉」のことを本で読んだことがある。
女房詞(にょうぼことば)は室町時代初期から宮中で奉仕している女官たちの間で使われた言葉である。それも主に衣食住に関する隠語で、のちには将軍家から町屋まで広く使われた。
女房詞(にょうぼことば)は室町時代初期から宮中で奉仕している女官たちの間で使われた言葉である。それも主に衣食住に関する隠語で、のちには将軍家から町屋まで広く使われた。
今では「女房・にょうぼう」というと、下町辺りの奥さんのことを言うようだが、昔は宮中で一人住まいの部屋を与えられた高位の女官を指し、上臈、中臈、下臈の三段階があった。
そんな女房詞(にょうぼうことば)を少し見てみょう。
〇「ご飯」のことは「御台・おだい」という。食膳の上にあるから「御台」なのだろうか。
〇御台匙(おだいがい)は飯杓子のことで、天皇陛下のご飯は「御台供御・おだいくご」と言う。
そんな女房詞(にょうぼうことば)を少し見てみょう。
〇「ご飯」のことは「御台・おだい」という。食膳の上にあるから「御台」なのだろうか。
〇御台匙(おだいがい)は飯杓子のことで、天皇陛下のご飯は「御台供御・おだいくご」と言う。
〇「団子」のことは「いしいし」である。これは(おいしい)から(いしい)になり(いしいし)になった。
*なお「美味しい」は「美し・いし」から「お美し」「お美味しい」に変わった言葉である。
〇「豆腐」のことは「おかべ」・・「御壁」だから壁のように白いと言う意味だろう。
〇「豆腐」のことは「おかべ」・・「御壁」だから壁のように白いと言う意味だろう。
(おこわ) こわめし
(おから) 大豆あら投入を採った後のカス
(おじや) 雑炊
(おかか) カツオの削り節
(おまん) 饅頭
(おもちゃ) は,平安時代に「もちあそぶもの」から転じた女房言葉です。
(おひや) 飲食店などでよく水のことを『お冷や』というが、これも女房言葉の「お冷やし」から・・
(おぶう) は「ふうふう」しなくては熱くて飲めないものを意味する言葉で、さゆでもお茶でも、温かい飲物全般を言う。 今でも京都や大阪で、湯、茶のことを(おぶ)とか(おぶう)と言うようだ。
(おから) 大豆あら投入を採った後のカス
(おじや) 雑炊
(おかか) カツオの削り節
(おまん) 饅頭
(おもちゃ) は,平安時代に「もちあそぶもの」から転じた女房言葉です。
(おひや) 飲食店などでよく水のことを『お冷や』というが、これも女房言葉の「お冷やし」から・・
(おぶう) は「ふうふう」しなくては熱くて飲めないものを意味する言葉で、さゆでもお茶でも、温かい飲物全般を言う。 今でも京都や大阪で、湯、茶のことを(おぶ)とか(おぶう)と言うようだ。
(おかず)
主食のご飯と一緒に食べる料理(総菜)のことで、(総菜の)数をとりそろえる」という意味から、
主食のご飯と一緒に食べる料理(総菜)のことで、(総菜の)数をとりそろえる」という意味から、
おかずと言うようになった。
(おまる) 便器
(おはぐろ) 昔、結婚した女性は歯を黒く染めていた。
(おかき) 欠けたた餅、
*昔は餅を砕いて食べた。佐賀の方言では、これを(くだけ餅)と言っていた。
(おまる) 便器
(おはぐろ) 昔、結婚した女性は歯を黒く染めていた。
(おかき) 欠けたた餅、
*昔は餅を砕いて食べた。佐賀の方言では、これを(くだけ餅)と言っていた。
(おなら)の言葉は 『 お鳴らし 』 という女房言葉からきている。
(おちんちん) も!??
(おちんちん) も!??
(おかちん)は餅のことで、佐賀の正月のもぐら打ちの歌の中にも出てくる。
「もぐら打ちの歌」
♪ なーれなーれ 柿の木
ならずの柿をば、なれとぞ言うた
千なれ 万なれ 億万なーれ
うちの子のちぎっときゃ 畑の真ん中なーれ
他所の子のちぎっ時ゃ 堀の真ん中なーれ
もーぐら もぐら もーんな祝うて 三べん
ならずの柿をば、なれとぞ言うた
千なれ 万なれ 億万なーれ
うちの子のちぎっときゃ 畑の真ん中なーれ
他所の子のちぎっ時ゃ 堀の真ん中なーれ
もーぐら もぐら もーんな祝うて 三べん
おかちん どーみゃ ゆがんでも
ふとかとかーら おくんさーい
十四日のもーぐら打ち
ふとかとかーら おくんさーい
十四日のもーぐら打ち
〇 「もじことば」
四国の松山あたりでは、話の語尾に(そうじゃなもし・・)と、・・もし という方言が使われていたようで、漱石の「坊っちゃん」でも年配のおばさんや中学の先生たちが「そうじゃなもし」を連発している。(*尤も、今は殆ど使われていないようで、佐賀の方言に限らず、何処の方言でも今のおしゃれ好きな若い人たちは方言は全く使わず、みんな標準語を使う、テレビやマスコミの影響だろうか。)
同じように、女房言葉の名詞にはなぜか語尾に「もじ」と言う言葉がつくのがほとんどである。
「もじ」は「文字」の意味で、名詞の語尾につけて、言葉を婉曲にやわらかく表現するもので「もじことば」という。
佐賀の方言には「お葉漬け」のことを「おこもじ」と言うが、これは野菜の茎が女房言葉で「くもじ」なので、さらに茎漬けが「こもじ」→「おこもじ」になったと考えられている。
餅のオカチン同様に、これは佐賀地方も昔から御所のある京都と何らかの交流があったのではないかと思われる。ちなみに佐賀の郊外には、「和泉式部生誕の地」があって今は歌垣公園になっている。
茎漬けや妻なく住むを問うおうな
*江戸時代の俳人・炭 太祇(たんたいぎ)
また、女房詞で自分のことを「わもじ」と言うが、これは(吾文字→若者→私)の意味である。
昔の佐賀地方の子供が使った「わさん」と言う言葉は「お前」という意味だが、これは「和様」という上品な京言葉からきたもので、おそらく平家の落人辺りが流布したのではないだろうか。
ここで「もじ」のつく女房詞のいろいろを列記してみると・・
あなた。そなた→ 其文字・ そもじ
私→ 吾文字・ わもじ
姉→ あもじ
奥さん→ おくもじ
私→ 吾文字・ わもじ
姉→ あもじ
奥さん→ おくもじ
母→ かか・かもじ
佐賀の古い方言では・母のことを「かか」「かかさん」 「かくさん」 などという。
子供のころ、地面に棒で 〇 三 □ 三 ー □ 三 と書いて友達をからかったものだ。
これは 「わさん、かくさん、寝た坊〈棒)、かくさん 」と読む。
これは 「わさん、かくさん、寝た坊〈棒)、かくさん 」と読む。
( お前のかぁさんでーべそ・・)と同じように「お前の母さんは寝た坊かぁさんだ」
という、ざれ言葉である。
肴→さもじ
鯉→ こもじ
牛蒡→ごもじ
寿司→ すもじ
杓子→ 杓文字・ しゃもじ
牛蒡→ごもじ
寿司→ すもじ
杓子→ 杓文字・ しゃもじ
と、何にでも(もじ)がついている。
葱は一文字で(き)と読むので「ひともじ」「ねもじ」であり、根葱でネギ。また根深・ネブカ。葉葱・ハギとも呼ばれている。
またニラは二文字だから(ふたもじ)という。。
葱は一文字で(き)と読むので「ひともじ」「ねもじ」であり、根葱でネギ。また根深・ネブカ。葉葱・ハギとも呼ばれている。
またニラは二文字だから(ふたもじ)という。。
俳句に
「ひともじの丈(たけ) 俎(まないた)にあまりけり ・高田蝶衣」というのがあり、 古歌にも
「ひともじの丈(たけ) 俎(まないた)にあまりけり ・高田蝶衣」というのがあり、 古歌にも
引きみれば根は白糸のうつぼ草
ひともじなれど数の多さよ と歌われている。
烏賊→いもじ
蝦→ えもじ
鯖、肴→さもじ・・浮世風呂にあり
盗人(ぬすっと)→ぬもじ
小麦→こもじ
宇治茶→ うもじ
絹織物。練貫(ネリヌキ)→ ねもじ
乾飯・ホシイイ→ほもじ
味噌→ みもじ
文・ふみ→ ふもじ
浴衣→ ゆもじ
湯巻き、腰巻→ゆもじ、昔は佐賀では腰巻の事を(きゃーふ)と言った。掛布の意味である。
恥→ おはもじ
お目にかかること→ おめもじ
ひともじなれど数の多さよ と歌われている。
烏賊→いもじ
蝦→ えもじ
鯖、肴→さもじ・・浮世風呂にあり
盗人(ぬすっと)→ぬもじ
小麦→こもじ
宇治茶→ うもじ
絹織物。練貫(ネリヌキ)→ ねもじ
乾飯・ホシイイ→ほもじ
味噌→ みもじ
文・ふみ→ ふもじ
浴衣→ ゆもじ
湯巻き、腰巻→ゆもじ、昔は佐賀では腰巻の事を(きゃーふ)と言った。掛布の意味である。
恥→ おはもじ
お目にかかること→ おめもじ
→湯かたびら
空腹→ひもじい
*空腹の意味の(ひだるい)の(ひ)と(もじ)をくっつけたもの
酒→くもじ
*これは三々九度と九回盃を交わす、つまり九献・クコンの意味で「くもじ」になっている。
*空腹の意味の(ひだるい)の(ひ)と(もじ)をくっつけたもの
酒→くもじ
*これは三々九度と九回盃を交わす、つまり九献・クコンの意味で「くもじ」になっている。
**さて、男のくせに女房言葉などをながながとしゃべっていると、オカマと間違われて恥(おはもじ)を掻くので、この位にして置こう。
では、またあした、御目文字(おめもじ)致しましょう。 チャンチャン・・
・・・・・
【 秋の雲 】
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