(69) 幼馴染の思い出は・・
(小学卒業写真/男子)
「会うは別れの初めなり」・・幼馴染で懐かしい「ヒロちゃん」との別れはあっけないものだったが、 小学校の友達で女性との思い出は少ない。いや、殆どないといっても過言ではないだろう。
あながち、質実剛健「男女七歳にして席を同じうせず!」と言うお堅い葉隠武士の風土のせいでもあるまいが、私の小学校時代の1,2年は男女共学だったが、3年以降は中学から大学まですべて男子学生ばかりだったので、今は女性の学友については記憶も消息も持ち合わせていないのである。
その中で、唯一記憶の底にあるのは「キミちゃん」の事ことである。
その中で、唯一記憶の底にあるのは「キミちゃん」の事ことである。
♪ 幼なじみの思い出は
青いレモンの味がする
閉じるまぶたのその裏に
幼い姿の君と僕
青いレモンの味がする
閉じるまぶたのその裏に
幼い姿の君と僕
男子は剣道・女子は長刀を習った
「キミちゃんのこと」
小学校1年の時に同クラスだったキミちゃんは、頭が良くて大きな目のオカッパ頭の女の子だった。 ただ、それだけのことである。そして思い出に残るのもただ一つである。
担任は生田先生と言い、束髪に矢絣の着物、袴姿で皮靴を履いているという典型的な昔の女先生だった。その優しい生田先生が、生徒たちに「この組で、一番お利口さんは誰ですか?」と尋ねると、 君代ちゃんが手を上げて「ハーイ、シランちゃんデース!」
続いて紫蘭が手を上げて「ハーイ、キミちゃんデース!」と叫んだのを覚えている。
何とも可愛い遠い思い出である。 ハハハー・・
↑ (ベッティちゃん)
3年からは男子ばかりのクラスになっのたで、私の小学時代の女の子についての記憶は、この一コマだけであるが、数十年たって同窓会で偶然出会って見ると、君代ちゃんはなんと【東京女子大】を出て、立派な英語の先生になっていた。
しかし、彼女は中年太りのせいか、少々おなかが突き出ていて、いかにも才気溢れる女史然とした偉大なオバサンになってしまっていた。そこには、あのつぶらな瞳の可愛い女の子の一かけらもなかった。 うわさによると夫と別れて以来、男出入りが激しく、気性の強い文筆家であるという話であった。「美しく老いる」と言う著書まであるという。
ある日、飲み友達が、「一杯付き合え・・」というので見知らぬ飲み屋に出かけた。そこの止り木には客の小太りのおばさんがデーンと腰を下ろして一人で飲んでいたが、すでに少々出来上がっていたようである。急に吾輩の横に座ったかと思うと「ウワ~ッ、シランちゃ~ん」と言ってシランの白髪頭をグシャグシャに撫で始めたのだ。
しかし、彼女は中年太りのせいか、少々おなかが突き出ていて、いかにも才気溢れる女史然とした偉大なオバサンになってしまっていた。そこには、あのつぶらな瞳の可愛い女の子の一かけらもなかった。 うわさによると夫と別れて以来、男出入りが激しく、気性の強い文筆家であるという話であった。「美しく老いる」と言う著書まであるという。
ある日、飲み友達が、「一杯付き合え・・」というので見知らぬ飲み屋に出かけた。そこの止り木には客の小太りのおばさんがデーンと腰を下ろして一人で飲んでいたが、すでに少々出来上がっていたようである。急に吾輩の横に座ったかと思うと「ウワ~ッ、シランちゃ~ん」と言ってシランの白髪頭をグシャグシャに撫で始めたのだ。
急に見知らぬ変なオバサンから頭をさわられて「びっくり仰天」したシランは、思わず飲み屋を飛び出して、一目散に後も見ずに逃げ出した。あとから「ゴメンネ~、シランちゃ~ん」という声が遠くから追いかけてきた。
実は、呑兵衛の友達が気を効かせたつもりで、シランとキミちゃんを呼んでこっそりと幼馴染の出会いを画策したのだった。だが、彼女はあのクリクリ目玉の可愛いオカッパ頭とはあまりにもかけ離れた存在だったのだ。 変なオバサンと勘違いするのも無理もないだろう。
その「君代ちゃん」が突然、ひとり淋しく亡くなったと、風の便りに聞いてからもう久しい。
実は、呑兵衛の友達が気を効かせたつもりで、シランとキミちゃんを呼んでこっそりと幼馴染の出会いを画策したのだった。だが、彼女はあのクリクリ目玉の可愛いオカッパ頭とはあまりにもかけ離れた存在だったのだ。 変なオバサンと勘違いするのも無理もないだろう。
その「君代ちゃん」が突然、ひとり淋しく亡くなったと、風の便りに聞いてからもう久しい。
あの可愛かったオカッパ頭の少女はどこへ行ってしまったのだろう。。
つづく
*台風15号は明け方から2時間ほどで足早に遠ざかり、雨戸まで繰って待ちかまえたのにしては、あっけなかったが、老人世帯にとってはほんとに助かった。